教員ママの!勝手に!滑川町改造計画

教員ママの!勝手に!滑川町改造計画

教員ママの野望と活動と子育ての記録。

生きた声を聴く!0歳児・3歳児を連れての母子避難、その②

避難の難しさと、『避難の権利』

 前回の続きで…森松さんは福島から大阪に避難。
その後、大阪から全国・世界各地へ赴き、
震災の経験を語り『避難の権利』を叫んでいる。
避難の権利とは『無用な放射線被ばくを免れて、
健康を享受する権利』だという。

無用な放射線被ばくとは、
レントゲンのように、自分で選択した被ばくではなく、
宇宙や大地から受ける自然放射線の被ばくではなく、
無理やり、多くの放射線をあびせる原発事故のことだ。
この被ばくから逃れて、健康に生きる権利を主張している。

なぜ、こんな当たり前のことを主張しているのか?
日本は、避難の権利を奪われているからだという。
逃げることは簡単に見えて、難しい。
そもそも知らないと逃げられない

国は、原発事故直後から、直ちに健康に害はない、
大丈夫、世論が気にしすぎ…と言ってきた。
東電がメルトダウンしていたことを発表したのは
原発事故から2か月も経った後だった!
さらに2016年になって、やっと東京電力
事故から3日後にメルトダウンを確認していたのに
2か月間も隠ぺいしていたことを認めた
(2017年、新潟県と東電HDによる調査では
隠ぺいに官邸の指示はなかったとされた。)
国や電力会社に隠ぺいされたら逃げられない

さらに、別の、避難のしにくさもあるという。
森松さんの講演会で初めて聞いた言葉に
隠れ避難民』というものがある。
日本では、避難していると迫害に合うので
家族や自分の身を守るために
避難していることを隠して生活するのだという。

福島からの避難には、国の勝手な線引きによる
強制避難と自主避難がある。
この違いによって、様々な差別がある。
賠償金の額も全く違うという。

強制避難では、福島の家にはもう住めない。
新しく避難先に家を建てたのに「賠償御殿」と
落書きがされた…ケースもあったという。
自主避難の方には「気にしすぎだ」
「現地に住んでいる人がいるのに神経質だ」と
中傷されることもあるそうだ。
自主避難は、『自力』避難なのに!

学校では「放射能がうつる」菌扱い…いじめ。
茨城から避難してきた人に対しては
「福島で頑張っている人がいるのに、非国民だ」
茨城にも放射線が降り注いでいるのに。
県境で、放射線が止まるわけではないのに。

確かに、この社会では避難することは難しい…。
避難する権利を奪われていると言えると思う。 

学校教育と、放射線

原子力は、人の手には負えないものだ」と
森松さんは言う。
大量の放射線を浴びるとロボットでも
1~2時間で破壊されてしまう。
放射線の怖さを学校でちゃんと
学ぶべきだと思う。

全国の小中学校・高校に、直接、文科省から
放射能副読本』が配られた
自治体の教育委員会を通さずに。
H26年に2万部も配布されたそうだ。
H30年10月にも改訂版が出されている。
小学生向けのものと、
中学生・高校生向けのものがある。
文科省のHPから無料ダウンロード可能だ。

これを読んでみたが、
放射線を正しく学べば、怖くないよ」と
無理に強調している
最初はまぁ読めなくないが、第2章からはひどい…。

福島原発事故で放出された放射性物質の量は、
チェルノブイリ原子力発電所事故の約7分の1で、
福島県が県民に実施した検査の結果によれば、
検査を受けた全員が
健康に影響が及ぶ数値ではなかった」とされている。
…これは、本当か?

避難者の中には、「仕事を失った人、
心の病気にかかった人がいます」とも書いてある。
…これは、誰のせいだ?国は、完全に他人事だ。
しかも、まだ避難している人もいるのに、
まるでもう安全かのように書いてある。
避難者の声は、国に届かないのか!

この本は、広島や長崎にも配布されたらしい。
だが、この副読本の問題に気づき、
すでに回収している教育委員会もある…。
埼玉県はどうか?
お国の決めたことに逆らえないのも、
公務員の悪いクセだ…。

最後に…

 この副読本では、原発事故が起こった場合、
放射性物質が風に乗って飛んで来てしまうことへの
対処法が書かれていた。

「長袖の服を着たりマスクをしたりすることにより、
体に付いたり吸い込んだりすることを防ぐことができる。」
放射性物質が顔や手に付いたとしても、
洗い流すことができる。」
いやいや、そんな簡単な問題じゃないでしょ!と思う。

ここからは私の考察だが、そもそも
その原発と、自分のいる『距離』の問題がある。
原発に近い方が勿論、
放射性物質も多く空気中に存在して、外部被ばくする、
さらに、放射性物質を吸い込んで内部被ばくも受ける。
福島原発から200㎞離れた東京でも、
放射性物質が降り注いだ。

マスクでも目の非常に細かいもの、微粒子を防げる
マスクでないと放射性物質は防げない。
放射性物質を通さないレベルのマスクなら、
放射性物質を吸い込まないで済むので内部被ばくしない。
マスクでも長袖でも、そこに放射線物質が付着したら
そこから放射線は出ていることになる。
放射線は、布を通り抜けるから、外部被ばくはする。

洗ったら、放射性物質が落ちると書いてあったが、
その放射性物質を洗い落とした水は、どこへ行く?
排水溝から流れて川・海が汚染される?
川の水を、浄水場が取り込んで、水道水が汚染される?

もっと深く『原子力防災』を知る必要がある。
地震や火事などと同じように、原発事故に対しても
各家庭で防災することを学ぶべきだと思う。
滑川の森の測定室さま…、
どうか原子力防災の講座を行ってくださ~い。